XF23mmF1.4 R LM WRの発売日がようやく発表されました。
発売予定日は2022年2月24日。マップカメラでは2022年2月1日AM10:00より予約受付を開始しています。
YouTubeやその他メディアで先行レビューが上がっていながらも、2021年11月の発売予定から3ヶ月発売が延期されたXF23mmF1.4 R LM WR。
今回の記事ではその発売と生産完了に伴って新品なのに中古以下の価格で投げ売りされていたXF23mmF1.4 Rのレビューをしていきます。
※この記事は2022年2月1日に執筆されたものです。時間経過による情報のズレ等はご了承ください。
XF23mmF1.4 - 新型と旧型の違いは?
旧型がXF23mm F1.4 R
新型がXF23mmF1.4 R LM WR
何が違うのか。どちらを購入すればいいのか。
まずはカタログスペック的なところの比較をしていきます。
市場価格
XF23mm F1.4 Rの市場価格はどんどん下がってます。
というか冒頭でも書いたとおりマップカメラでは投げ売り状態でもう在庫切れになってしまったんですが、新品が6万円を切って販売されていました。
現状だと中古相場は5万円~という感じで、美品だと5万6千円くらいで購入できます。
対して、XF23mmF1.4 R LM WRの新品価格はマップカメラで108,900円という価格なので、新品同士の比較なら3万円の差、中古美品との比較なら5万円の差になります。
特に中古と比較してしまうと新型は倍の値段してしまうというのは少し手を出しにくいかもしれませんね。
見た目
XF23mmF1.4 Rは大口径レンズらしい高級感のあるレンズです。
2013年の発売時は10万円を超える新品価格だったことも納得の見た目になっています。
十分に所有欲を満たしてくれるでしょう。
ただし付属のプラ製花形フードはかなり微妙です。
別売りの角型フードをおすすめしたいところですが、いかんせん高い、さらに金属製だからちょっと重い。300gの軽量さを打ち消しかねないので見た目を取るか重量を取るか、はたまたフードは諦めるか。
難しいところではあります。
ちなみに角型フードはレンジファインダー風カメラにこそ似合うので、Proシリーズ所有者にはぜひとも角型フードでこのレンズを使っていただきたいですね。
LH-XF23はXF23mmF1.4 R用のフードで、フードに23という数字も書かれていますが、XF56mmF1.2 Rでも使用することができます。
LH-XF23 ⅡはXF23mm R LM WR用のフードでこちらも23という数字が書かれていますが、XF33mmF1.4 R LM WRにも使用することができます。
機能/特徴
FUJIFILMのレンズは名前のうしろのアルファベットでそのレンズにどういう特徴があるのかを表しています。
Rは絞りリングあり
LMはAF駆動にリニアモーター(LM)採用
WRは防塵防滴仕様
など。他にもOISがレンズ内手ブレ補正とかもありますが、単焦点レンズでは上記3つのアルファベットがついているのが一般的です。
XF23mm F1.4 RとXF23mmF1.4 R LM WRもその法則から外れず、XF23mm F1.4 Rは絞りリングがあること以外特に特徴がないレンズで、XF23mmF1.4 R LM WRは絞りリング有り・リニアモーター採用・防塵防滴仕様ということになります。
XF23mmF1.4 RのAF音はXF35mmF1.4などの初期レンズのようにうるさいということはないものの、「ジジ、ジジ」と確かに聞こえます。それがLM採用で静かにより高速になるのは特に動画ユーザーにとっては嬉しいことでしょう。
しかし、XF23mmF1.4 RのAFも決して悪く有りません。動画利用もできる精度とスピードがありますが、少し音が気になるかなという印象です。
防塵防滴はカメラを使用するシーンを選ばなくなるため自分の写真の幅を広げる意味でも非常にありがたい仕様となっています。
アルファベットに関する機能については上記の通りなんですが、XF23mmF1.4 Rはクラッチ式のフォーカスリングを搭載しています。
そもそもXF23mmF1.4 RはAF精度がそこそこ良いのでロマン枠の機能ですが、MFを使用しないときはフォーカスリングが絶対に回らない仕様は結構ありがたいです。レンズ交換のときとか、思いっきりフォーカスリングのところを持ってレンズを回しています。
サイズ
XF23mmF1.4 R:最大径×長さø72mm × 63mm / フィルターサイズø62mm / 重量300g
XF23mmF1.4 R LM WR:最大径×長さø67mm×77.8mm / フィルターサイズø58mm / 重量375g
大きさで言えばほとんど同じですが、旧型の方がより太く、新型の方がより長くなっています。
個人的には太いほうが見た目は好きなんですが、X-S10やX-E4などの小さいボディに合わせたときにバランスが悪く、机に置いたときにレンズが机にあたってカメラが上の方を向いてしまいます。
ちなみに、X-Pro3でもレンズが飛び出るので飛び出ないのはT-一桁シリーズとH1くらいかもです。
気にし過ぎかもしれませんが、レンズのスレ・キズ・塗装剥がれの原因になるのでそういう意味では細長い方がいいのかもしれません。
レンズ構成と写り
XF23mmF1.4 R:8群11枚(非球面レンズ1枚)
引用元:https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/lenses/xf23mmf14-r/specifications/
XF23mmF1.4 R LM WR:10群15枚 (非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚)
引用元:https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/lenses/xf23mmf14-r-lm-wr/specifications/
このレンズ構成の差を見れば重量の差にも納得というものです。
特に非球面・EDレンズを贅沢に使用することによる、各種収差の徹底的な除去を行っているというのが、XF18mmF1.4・XF33mmF1.4と続く次世代プライムレンズの特徴になっています。
また、高画素機に搭載しても耐えられる解像力というのも売りにしているレンズになっています。
次世代プライムレンズの開発コンセプトについてはカメラのキタムラさんのYouTubeチャンネルで上野さんのインタビュー動画を見るとよくわかると思います。
ボケ
XF23mmF1.4 R:絞り羽根枚数 7枚(円形絞り) / 最大撮影倍率 0.1倍 (最短撮影距離 28cm)
XF23mmF1.4 R LM WR:絞り羽根枚数 9枚(円形絞り) / 最大撮影倍率 0.2倍 (最短撮影距離19cm)
ボケの質の話は置いておいて、最大撮影倍率が大きくなり、より寄れるようになっています。
より寄れるということは従来よりもぼかす事ができるということ。
当然より大きなボケを得るには(寄らなければいけない=画角を変えなければいけない)ということでもあるので使えるシーンは限られるかもしれませんが、換算35mmという準広角~標準の器用な画角のレンズであれば撮影者の技量次第でどうとでもなるような気がします。
それが多くの写真家が35mmのレンズを好む理由なのではないでしょうか。
ボケの質に関しては新型は持ってないのでサンプル画像を見た感想にはなってしましますが、XF18mmF1.4・XF33mmF1.4と傾向は同じでざわつかず素直にぼけている印象を受けます。上野さんがクリーミーと表現するのにも納得できるボケなのではないかと思います。
XF23mmF1.4 R 作例&レビュー
ここまではXF23mmF1.4を旧型と新型でスペックの比較をしてきましたが、ここからは僕が実際にXF23mmF1.4 Rで撮影した写真を見せながら、XF23mmF1.4 Rのレビューをしていこうと思います。
昨年の12月にディズニーシーに行ってきたのでその時の写真を紹介します。
ボディはX-Pro3で、すべてjpeg撮って出しです。
開放ではないf/1.8ですが、前ボケの大きさはそこそこでとてもきれいにぼけていると思います。
開放からシャープと評価されることもあるこのレンズですが、それでも僕は開放はふわっとしてると思います。
f/1.8にするだけでもかなり解像感は上がる印象です。
これは13時半の強烈な陽の光の中の写真ですが、左上の太陽光によるふわっとした雰囲気と水のディティールが対照的な描写になっていると思います。
ただし、色収差が出てたり、開放なので解像感も微妙です。新型ではこういう場面も開放でいけるかもしれませんが、旧型なら絞るのがベターな気がします。
開放でパシャッと撮っただけの写真。開放で朝9時の青空を撮るとこれくらい周辺光量落ちが見られますよという指標になればと思います。
僕がこのレンズで気に入ってるのはたまに35mmF1.4みたいな描写をするところなんですよね。この写真は柔らかく、よく言われるベールをまとったかのような描写です。
FUJIFILMユーザーで35mmF1.4の虜になっている人は多いはず。僕もそのうちの一人です。
F1.4の開放値は薄暗い屋内や夜でこそ真価を発揮します。
APS-C機の悪いところは暗所の撮影でノイズが出やすところですが、良いところはレンズが小さいところです。
XF23mmF1.4 Rは300g。F1.4のフルサイズ機用レンズじゃこうはいきません。
気軽に持ち歩けるレンズであることはレンズの評価にあたっては非常に重要なことだと思います。
ディズニーシーの雰囲気作りが完璧なのか、FUJIFILMの色作りが完璧なのか、どちらもなのか、いずれにせよ好みの雰囲気の写真です。
XF23mmF1.4 Rはその柔らかい描写と開放F値から女性のポートレート撮影にも向いているレンズです。
髪の毛の質感は正確に表現しつつも肌は柔らかく写し、背景は素直にスッとぼけるため被写体が浮き上がってきます。
XF56mmF1.2 やXF90mmF2 のようなポートレート用レンズとは違って、背景の情報も写真内に欲しい旅行・お出かけのポートレートにはXF23mmF1.4 Rがベストといえると思います。
この写真では木漏れ日の点光源ボケ(丸ボケ)も確認できますが、形は結構レモンで年輪ボケも見られます。
丸ボケ自体の質はあまり良くないかもしれないですね。
植物が背景になるとボケのざわつきがどうしても気になってしまうのが常なので仕方のないところはあるんですが、僕の個人的な感想としては十分なめらかでうるさくないぼけだと思います。
XF23mmF1.4 R 総評
作例を見ながらレビューしてきたものをメリット・デメリットに分けてまとめていきます。
メリット
- 開放は適度にふわっと、1段(2/3段でも可)絞るとよく解像してくれる
- 準広角~標準域の万能画角でスナップからポートレートまで対応可
- たまに神レンズの顔をしだす
- F1.4の明るい開放F値
- この性能で300gは軽い
デメリット
- 防塵防滴ではない
- 純正フードが微妙
- 最大撮影倍率0.1倍と寄れない
まとめるとこんなかんじだと思います。
純正フードに関してはXF23mm R LM WRも別売りのフードを買わなければ解決できないですが、それ以外のデメリットをクリアしているということで、新型はほとんど文句のつけようがないレンズになっていることでしょう。
XF23mmF1.4 Rはこんな人におすすめ
結局、新型の描写と比較ができない以上、防塵防滴、最大撮影倍率0.2倍が要るか要らないかで判断するしかないと思います。
公式サイトのサンプル画像と開発コンセプトから考えるに、5月のX summitで発表されるであろうX-H2を購入予定の方、作品撮りをよくされる方などには新型の方がおすすめではあります。
しかし、僕みたいなスナップメインで、女性のポートレートも撮るような用途ならXF23mmF1.4 Rがコスト的な面でも、重量的な面でも、描写的な面でもおすすめになるのかなという結論でこの記事を終わりにしたいと思います。
いよいよ予約受付が開始されたXF23mm R LM WRを買うか、生産完了とともに値崩れしたXF23mmF1.4 Rを買うか迷っていた方の判断の一助になれば幸いです。